北米

2023.08.26 16:00

米司法省がスペースXを提訴 難民らの雇用拒否か

遠藤宗生
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Sundry Photography / Shutterstock.com

米司法省は24日、イーロン・マスクの宇宙開発企業スペースXが、採用プロセスで難民や亡命を認められた人々を差別しているとして提訴した。

司法省によると、スペースXは少なくとも2018年9月~2022年5月の間に、亡命者や難民が同社の求人に応募しないように仕向け、公平な機会を与えていなかった。スペースXの最高経営責任者(CEO)を務めるマスクや幹部らは、オンライン投稿やその他の発言で、同社が米国市民と永住権の保持者しか採用できないという誤った主張を行い、難民や亡命者らが求人に応募することをやめるように仕向け、実際に応募があった場合にも考慮しなかったとされる。

司法省は特に、2020年6月にマスクがツイッターで、「米国の法律では、スペースX社で雇用されるには少なくともグリーンカード(永住権)が必要だ。ロケットは高度な兵器技術とみなされるからだ」と述べていたことを問題視している。マスクはまた、2016年9月に公開したビデオで「当社で働くためには、通常の就労ビザでは不十分だ」と述べていた。

マスクとスペースXは、国際武器取引規制(International Traffic in Arms Regulation)と輸出管理規制(Export Administration Regulations)という2つの輸出管理法により、同社が米国市民ではない人々を雇用することが禁じられていると主張。だが司法省は、これらの法律では難民や亡命を認められた人々も「米国市民と同様に」扱われると指摘。スペースXの雇用慣行が長年にわたり「亡命者や難民に損害を与えた」と主張している。

米国の移民法では、迫害から逃れて国境に入国した移民は、連邦移民局で必要な手続きを完了する限り、合法的に国内に留まることが認められている。一方、国土安全保障省は、他国から米国に入国しようとする難民と、滞在を希望する時点ですでに米国内にいる亡命者を区別しているが、亡命者は強制送還の心配なしに米国で生活し、働き、市民権を得るための長いプロセスを開始することが法的に認められている。

連邦法では、雇用主が市民権や移民ステータス、国籍に基づいて、採用候補者を差別することが禁じられている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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